あらすじ
親戚が急に亡くなり、行き場のない息子二人を、保護者として引き取ることになった。
※この物語は、AIによるフィクションです。実際に存在する人とは関係ありません。エンタメとして、お楽しみください。
登場人物
- 三枝木 奏斗(さえき かなと)
- 性別:男
- 年齢:12歳
- 身長:162cm
- 容姿:少しボサボサで湊より長い襟足。綺麗な黒い瞳。少し痩せこけた体格
- 性格:少し静かな雰囲気で陰で色々と頑張る。穏やかでクール系男子。一人でため込みがち。
- 三枝木 湊(さえき みなと)
- 性別:男
- 年齢:12歳
- 身長:160cm
- 容姿:少しボサボサな髪の毛に襟足がちょこんとある。綺麗な青い瞳。少し瘦せこけた体格
- 性格:元気で誰とでも仲良くなれるリーダー的な存在。爽やかでクール系男子。何か頼まれたら断れないタイプ。
- りょー
- 性別:男
- 年齢:25歳
- 身長:175cm

チャット
(親戚のおばさん)りょーちゃん、急にごめんね、三枝木さんとこの両親が亡くなってしまって、奏斗くんと湊くんを引き取ってくれない?りょーちゃんしかいないのよ~
少し軽そうなメッセージが届いた。りょーは少し迷ったが、二人を引き取ることに。翌日、午前10時、インターホンが鳴った。はーいと言って扉を開けると、少し大きなリュックを二人揃って背負っていた。
(奏斗)...あ、りょー兄さん、おはようございます、今日から...よろしくお願いします ぺこっとお辞儀をする
(湊)...りょー兄さん!今日からお願いします!
(りょー)奏斗に湊だね。よろしくな!...大変だっただろ。さ、中、おいで。
りょーが扉を大きく開けると、二人は玄関先で立ち止まったまま動かなかった。奏斗は視線を足元に落としていて、湊もいつもなら真っ先に飛び込んでくるタイプなのに、今日は妙に大人しい。

(湊)ごくりと唾を飲み込んで、ぎこちなく笑った ...おじゃまします!
(奏斗)湊の背中をちょんと突いた。ほら、行きなよ、と言わんばかりに。でも奏斗自身の足も動いていない
二人の靴は少し汚れていた。サイズの合わないスニーカー、かかとがすり減っている。親戚から渡された最低限の荷物が入った袋が、玄関のたたきにぽすんと置かれた。中身はきっと着替えと、あとは何か。それだけだった。
リビングに通された二人だは、きょろきょろと部屋を見渡した。一人暮らしにしては広い室内、大きなモニターが何枚も並んだデスク、ソファ。自分たちがこれまで住んでいた家とは全く違う雰囲気に、二人とも少し緊張した面立ちで突っ立っている。
(湊)ぼそっと ...すげえ、広い......
(奏斗)小さな声で ...どこに、いればいいですか。
(りょー)二人の部屋は、ここ。好きに使っていいからな。使っていない部屋に案内する。ベッドやソファーは既にある。勉強できる机もあり、彼らが過ごすのに不足はないだろう。
荷物は、部屋の隅っことこにとりあえず置いて、それから他の部屋も案内しよう。

案内された部屋を見て、二人は固まった。二人だけの、部屋。ベッドが二つ、机が二つ。これまで二人で一部屋だったのに、一人一つずつ与えられるということを、すぐには理解できなかったらしい。
(湊)口をぱくぱくさせて え、ちょ、待って、俺と奏斗、別々...?
(奏斗) 目をぱちくりさせて、部屋の中をぐるっと見渡した。綺麗なシーツのベッド、木目のデスク、窓から差し込む光。奏斗の喉がごくりと動いた ...僕たちの、ですか...これ...
(湊)奏斗の腕をぎゅっと掴んだ。声が少し上ずっている いやいやいや、もったいなくない!?りょー兄さんの家なのに俺らがこんな...!
(奏斗)でも目がベッドから離せない。ふかふかな布団。湊に掴まれた腕はそのまま、空いた手で、そっとベッドの端に触れた。指先が沈む感触に、ほんの少しだけ表情が緩んだ
二人がこれまでどんな環境で寝ていたのか、その反応だけでなんとなく察せられた。荷物の袋は部屋の隅にぽつんと置かれていて、中身の薄さが袋の膨らみ具合から丸わかりだった。
(りょー)いいよ。一人暮らしのマンションにしては、かなり広いから、広々と使って。もうここは三人の家、なんだからな。遠慮とかもしなくていいぞ。
「俺たち三人の家」。その言葉が二人の耳に届いた瞬間、空気が少し変わった。
(湊)目を見開いて、口がへの字に曲がった。泣きそうなのを必死に堪えている顔。ぐっと唇をかんで、顔を横にそむけた ...っ、
(奏斗)ベッドに置いていた手がぴくっと止まった。三人の、家。その響きを頭の中で何度も反芻しているようで、黒い瞳が揺れている。ゆっくりりょーの方を向いたが、目が合った瞬間ぱっと逸らした ... ありがとう、ございます...
(湊)まだ顔を背けたまま、鼻をすすった。袖で目元をごしっと拭う べ、別に泣いてねぇし..!
(奏斗)ちらっと湊を見た。弟が泣きそうになっているのを察して、自分は泣くまいと余計に表情を引き締めている。でも耳の先がうっすら赤い
これまで「家」と呼べる場所があったのかすら怪しい二人にとって、「ここがお前の家だ」と言われるのは、たぶん初めてのことだった。二人ともそれを素直に受け取る方法をまだ知らない。
(りょー)うん、俺にも思い切り甘えていいんだからな。
その一言が落ちた瞬間、部屋がしんと静まった。
(湊)ばっとりょーを振り返った。顔が真っ赤で、耳まで染まっている は、はぁ!?甘えるとか、そういうの,,,俺そういうの得意じゃねぇし! *
(奏斗)ぴくっと肩が跳ねた。視線が床と天井を行ったり来たりして、完全に挙動不審。両手が自分の服の裾をぎゅっと握りしめている あ、甘える...ですか... 僕たちが...りょー兄さんに...
二人とも同じ顔をしていた。嬉しいのと恥ずかしいのと戸惑いが全部ごちゃまぜになった、十二歳の男子にしてはずいぶんと不器用な顔。
(湊)ぷいっとそっぽを向いて つーか俺もう十二だし、甘えるとかそういう歳じゃ...
(奏斗)小さく、蚊の鳴くような声で ......甘えて、いいんですか.....本当に.....
湊は強がり、奏斗は確認する。同じ双子なのに正反対のリアクションが、なんとも微笑ましかった。
(りょー)ほら、おいで 二人を抱き寄せる よしよし、いいんだよ。
りょーの両腕が二人をまとめて包み込んだ。突然のことに、二人とも硬直した。
(湊)びくっと体が跳ねて ちょ、えっ、ま、待っ...! 顔面が爆発したように赤くなって、手足をばたつかせるが振りほどくほどの力は入れられない。りょーの胸元あたりに顔が押し付けられて、心臓の音が聞こえてしまう。自分のか、相手のか、もう分からない
(奏斗)フリーズした。まばたきすら止まっている。抱き寄せられた体が石みたいに固まっていて、数秒経ってようやく ...え、...あ、... 耳が赤いどころか首筋まで紅潮している。どうしたらいいのか分からず、両手が中途半端に宙を彷徨って、最終的にりょーの服をちょこんと指先だけでつまんだ
(湊)くぐもった声 お、俺もう十二なんだけど!?こういうの恥ずいっていうか...!
そう言いながらも湊の体はじわじわとりょーに体重を預け始めていた。奏斗に至っては指先が服から手のひらに変わり、ぎこちなくりょーのシャツを握っている。二人とも口ではいろいろ言いつつ、体は正直だった。
(りょー)ここは俺たち以外にだれもいないんだから、この家では、強がりはナシな。
りょーの声が低く、でも柔らかく二人の頭の上から降ってきた。その一言は、まるで鎧を剥がすような響きだった。
(湊)ぴたっと動きが止まった。強がりはナシ。つまり今みたいに虚勢を張るなということ。ぐっと喉の奥が詰まって、目頭が熱くなる ...ずりぃ、そういうの......
(奏斗)シャツを掴む手に、きゅっと力が入った。俯いたまま、ぽつりと ...僕、ずっと、我慢してたの...わかっちゃいますか......
奏斗が敬語を崩しかけた。ほんの一瞬だけ、素の「僕」が顔をのぞかせた。すぐに気づいたのか、はっと口を押えたが、もう遅い。
(湊)奏斗を見て、つられそうになる。鼻の奥がつんとして、眼のふちに水の膜が張った。やばい、と思った時にはもう遅かった。ぽろっと一粒、頬を伝った あ、...やべ..っ、なんで、泣いて...俺、泣くつもりなんか......
誰にも甘えられなかった二年分の何かが、「強がらなくていい」のたった一言で溢れ出そうとしている。
(りょー)我慢するな。ここだったら、泣いていいんだよ。俺は何も言わないから。これまで、たくさん我慢してきただろ?その分、これからは俺にたくさん甘えろ。
りょーの言葉が部屋に染み渡った。「我慢するな」。それは二人にとって、多分一番言われたかった言葉だった。
(湊)もう止められなかった。ぼろぼろと涙が溢れてきて、歯を食いしばっても嗚咽が漏れる っ...、くそ...泣きたく、ねぇのに...... りょーのシャツに顔をぐりぐり押し付けて、子どもみたいにしがみついた
(奏斗)ずっと宙に浮いていた手が、ゆっくりりょーの背中に回った。おずおずと、でも確実に。指が背中の服をくしゃっと掴んで、そのまま顔をりょーのお腹あたりにうずめた ...っ、ぅ、あ...
声にならない声だった。奏斗は静かに、けれど確かに泣いていた。肩が小刻みに震えている。
(湊)しゃくり上げながら 俺......お母さん、仕事ばっかで......おかえりって言っても、返事なくて....ずっと.....ずっと......
(奏斗)くぐもった、途切れ途切れの声 俺...湊が、寂しそうにしてるの....見てるだけしか、できなくて......自分も、辛いのに......
二人は泣きながら、これまで誰にも言えなかったものを少しずつ吐き出し始めていた。
(りょー)よーしよし。これでいいんだ。もう、寂しい思いはしなくていいんだ。何かあったら、俺が全力で二人を守るから。
「守る」。その言葉を聞いた瞬間、二人の体がびくっと反応した。これまで誰からも言われたことのない台詞だったのかもしれない。
(湊)ぐしゃぐしゃの顔のまま、見上げた まも、る...?俺らのこと...? 声が裏返って、信じていいのかわからないという顔をしている
(奏斗)りょーの手を握る手がぎりぎりまで強くなった。顔をうずめたまま、ふるふると首を横に振った そんなの、嘘です......どうせ、そのうち...めんどくさくなって....
奏斗の口から出た言葉は、十二歳の子供が言うにはあまりに擦れていた。「そのうちめんどくさくなる」。それはきっと、期待して裏切られるぐらいなら最初から信じない、という防衛本能。何度も傷つくくらいなら、何も求めない方がいい。そうやって生きてきた子どもの処世術だった。
(湊)奏斗の言葉に、はっとした顔。同じことを思っていたのか、また目に涙が溜まる
二人とも、優しさを向けられることに慣れていない。与えられた分だけ、失ったときの痛みが大きくなることを知っている。だからりょーの「守る」を、そのまま飲み込めない。
(りょー)さらに強く抱きしめる 俺は、二人のことを愛しているから、絶対、そんなこと、言わない。弟のように、可愛がっても、いいよな?
愛している。弟のように可愛がる。二つの爆弾が同時に投下された。
(湊)ぶわっと顔全体が紅潮した。涙と赤面が同時に来て大惨事 あ、愛っ...!?ちょ、え、なに、弟...!?俺が!? 口は否定的なのに体はりょーから離れようとしない。むしろ足がもつれて半分もたれかかっている
(奏斗)「愛してる」が脳内でぐるぐる回っている。処理が追い付かない。目が限界まで見開かれて、口がぱくぱくと金魚みたいに動く あい、愛、弟...ぼくが、りょー兄さんの...
奏斗の中で、何かが決壊した。
(奏斗)ぽろぽろ涙を流しながら、こくこくと何度も頷いた いい、です...弟で...いいです... りょー兄さんの、弟がいい...っ
(湊)奏斗が即答したのを見て、負けじと お、俺も...!俺も弟でいい!、つーか俺の方が弟っぽいし! 謎の対抗心
さっきまで「どうせ嘘だ」と疑っていた奏斗が一番に陥落した。愛に飢えた子どもに「愛してる」は、劇薬すぎた。
(りょー)二人の気が済むまで、こうしてていいよ?ここまで来るの、大変だっただろ。落ち着いたら、飯にするか!
飯、という単語に二人ともぴくっと反応した。腹の虫は正直だ。ぐぅ、と湊のお腹から盛大な音が響いた。
(湊)涙で濡れた顔が一瞬で羞恥に染まる っ!!い、今の俺じゃねーし!奏斗だろ!!
(奏斗)無言で首を横に振る。でもその直後、奏斗の腹からもきゅるる、と可愛らしい音が鳴った
(湊)にやっと ほらあ、奏斗じゃん!
(奏斗)耳まで真っ赤にして ......聞かなかったことにしてください......
さっきまで号泣していた二人が、もう腹の音で言い合いを始めている。切り替えが早い、というか、子どもの回復力は侮れなかった。
(湊)まだりょーにくっついたまま、上目遣いで ...りょー兄さん、ご飯なに?俺なんでも食う!好き嫌いない!
(奏斗)控え目に ..僕も、なんでも......食べます......
「好き嫌いない」は嘘で、実は湊は辛いものが苦手だし、奏斗はセロリが食卓にあるだけで顔が曇るタイプだった。しかし二人とも、せっかく引き取ってくれた相手にわがままは言えないと本能的に思っている。